会長挨拶


このたび、第65回日本卵子学会学術集会を担当させていただくこととなりました。本学会は、1960年に哺乳動物卵子談話会として発足して以来、60年以上の長きにわたり生物学、農学、獣医学、海洋学など、動物を研究対象とする基礎研究者と臨床医学の研究者、さらには、生殖内分泌を専門とする臨床医、そして胚培養士が、「生殖」という共通のテーマで研鑽を重ねる機会を提供する役割を果たしてまいりました。基礎研究で得られた業績を臨床の場で応用発展させる、また、臨床で得られた知見をもとにあらたな基礎研究を発展させるといった、まさに、「基礎と臨床の連携」の場として機能してきた本学会は極めて貴重な学会といえます。本学会は、このような学術研究、生殖医療の発展への貢献だけではなく、生殖補助医療胚培養士および管理胚培養士の育成・資格認定の重要事業をも担っております。2022年4月からは生殖補助医療が保険適用され、多くの国民の皆様の注目を集めるようになっており、本学会の果たすべき役割はますます大きくなってきていると感じます。このような、歴史と伝統を誇る日本卵子学会の学術集会を、不妊クリニックの立場から開催できますことはかつて例の無いことであり、光栄かつ名誉あることと、心から感謝申し上げます。同時に、過去の大会同様、質の高い議論の場を提供できるかどうか、大いにプレッシャーを感じております。
今回の学術集会でも例年同様、基礎から臨床までの幅広い領域で、様々な視点から参加者にご討論いただきたいと考えております。テーマは『生命誕生の神秘に向き合う-基礎と臨床-』とさせていただきました。また、コロナ禍によって対面での貴重な発表機会が失われてしまっていた数年間に鑑み、今回は一般講演口演会場を多数確保し、活発なディスカッションの場を提供できるよう努めたいと考えております。
本学術集会が、基礎研究の進展および、生殖補助医療の臨床技術の発展に貢献できることを切に願っております。多くの演題登録をお待ちしております。そして、神戸で皆様にお会いできることを楽しみにしております。